インプラント治療中に歯がない期間はある?治療中はどうやって過ごす?
2024.11.25更新
「インプラント治療中は歯がない期間があるの?見た目が心配」という不安がある方もいるのではないでしょうか。
インプラント治療では抜歯からインプラント体と骨の結合まで2〜6ヶ月程度の期間が必要で、この間は該当部位に歯がない状態となります。
フィクスチャーを利用した仮歯、隣接歯を支台としたブリッジ型仮歯、取り外し式の部分入れ歯など、複数の対処法により審美性や機能性を保つことが可能です。
この記事では、インプラント治療中の歯がない期間の対処法や注意点、治療の流れについて解説します。
インプラント治療中は歯がない期間がある
インプラント治療では、抜歯から最終的な人工歯の装着まで数ヶ月間の期間が必要となり、その間は歯がない状態となってしまいます。
この期間は治療の流れとして避けることができない必要な過程であり、骨とインプラントがしっかりと結合するために欠かせない時間です。
インプラント治療で歯がない期間は通常2ヶ月から6ヶ月程度です。この間は、該当部位に歯が存在しない状態が続きます。
特に前歯部では、見た目の問題が大きく日常生活に支障をきたす場合もあるでしょう。
ただし、現在では治療期間中の不便さを軽減するためのさまざまな対処法が確立されており、患者さんの生活の質を保つ工夫がされています。
インプラント治療中の歯がない期間の対処法
歯がない期間を快適に過ごすために複数の対処法が用意されています。ここでは、その具体的な対処法について解説します。
フィクスチャーを利用して仮歯を作成する
埋入したフィクスチャーに直接仮歯を装着する方法は、最も自然で安定した解決策となります。
フィクスチャーとは、インプラント治療で顎の骨に埋め込まれる人工歯根部分のことです。
手術当日または数日以内に仮歯を取り付けることで歯がない期間を短縮し、患者さんの不安を大幅に軽減します。
この方法では隣接する歯への負担が一切なく、理想的な機能回復が期待できます。
ただし、十分な骨質と骨量が必要となるため、全てのケースで適用できるわけではありません。骨造成が必要な場合や初期固定が不十分な場合は、適応外となることもあります。
隣接する歯を利用して仮歯を作成する
隣接する健康な歯を支台として利用し、ブリッジ形式の仮歯を製作する方法もあります。接着性のブリッジとして一時的に装着されるのが一般的です。
歯を削る量を最小限に抑え可逆的な処置として行われるため、隣接歯へのダメージを軽減できるよう配慮されています。
ただし、接着剤を使って固定しているため仮歯が取れやすく、隣接歯に多少の負担がかかる点は難点です。
仮歯を装着している最中は、硬い食べ物や粘着性の高い食品は避ける必要があります。
仮の入れ歯を作成する
取り外し式の部分入れ歯を製作する方法は、汎用性の高い対処法といえるでしょう。
この方法は複数の歯を一度にインプラント治療する場合に適しており、見た目の改善と基本的な咀嚼機能の回復を同時に実現できます。
また、製作期間が比較的短く費用も抑えられるため、多くの患者さんに適用しやすい方法となっています。
ただし、固定式の歯と比較すると見た目が悪くなりがちなのがデメリットです。
通常の入れ歯と仕組みが異なるため、笑ったときなどに仮の入れ歯が目立ってしまうこともあります。また、慣れるまでに時間を要することも珍しくありません。
インプラント治療中に仮歯や入れ歯を利用する理由
治療期間中の補助装置には単なる見た目の改善以上の重要な意味があります。口腔機能の維持と患者さんの生活の質向上において、欠かせない要素となっているのです。
審美性を保つため
前歯部の欠損では笑顔や会話時に歯がない状態が他人に見えてしまい、心理的な負担となってしまいます。
社会生活における自信の低下は深刻な問題であり、仮歯や入れ歯により見た目を改善することで、治療期間中の見た目に関する不安を軽減する効果が期待されます。
特に接客業や営業職など人と接する機会の多い職業の方にとっては、審美的な回復は不可欠な要素といえるでしょう。
結婚式や重要な会議など特別なイベントがある場合も、安心して参加することが可能となります。
歯並びや噛み合わせを保つため
歯がない状態が続くと隣接する歯が空いたスペースに移動し、歯並びの乱れを引き起こします。
対合歯の挺出(ていしゅつ)も同様に問題となる現象であり、噛み合わせの位置関係が変化することで、最終的なインプラント治療の精度にも悪影響を及ぼしかねません。
これらの問題を未然に防止するため、仮歯や入れ歯による適切なスペースの維持が重要となるのです。
口腔内のバランスを保つことで最終的な治療結果の質を高め、長期的な安定性を確保することにも寄与します。
発音への影響を軽減するため
仮歯や入れ歯により舌の動きをサポートし発音機能の改善を図ることで、治療期間中も正常なコミュニケーションを維持できます。
歯がなくなると特定の音の発音が困難になり、日常的なコミュニケーションに支障をきたす恐れがありますが、仮歯や入れ歯がこの問題を解決します。
特に電話での応対や会議での発言など、日常的な業務を支障なく行えるようにするためにも仮歯や入れ歯が必要です。
痛みを軽減するため
歯がない部分の歯肉は食事の際に直接的な刺激を受けることで、炎症や痛みを引き起こしやすくなります。
特に硬い食べ物や熱い飲み物は強い刺激となるため、日常的な食事が苦痛になることもあるでしょう。
その点、仮歯や入れ歯で歯肉を保護すれば日常的な食事による痛みを効果的に軽減し、快適な食生活を維持することが可能です。
冷たい空気による知覚過敏の症状も軽減でき、季節を問わず快適に過ごせます。また、治療部位への異物の侵入を防ぐ効果にも期待できます。
インプラント治療中の歯がない期間に注意すること
治療期間中は仮歯や入れ歯を使用することになりますが、いくつかの重要な注意点があります。適切なケアと生活習慣により、快適な治療期間を過ごすことが重要です。
硬いものを極力食べない
治療期間中は氷や硬いキャンディー、骨付き肉などの硬い食品を避けることが重要となります。なぜなら、仮歯の破損リスクが高まるためです。
ナッツ類やせんべい、フランスパンの固い部分など、強い咬合力を必要とする食品も控えるべき食材に含まれます。
硬い食品を噛むことで仮歯が欠けたり外れたりする危険性があり、インプラント体への過度な負荷も問題となることから、骨結合に悪影響を与える可能性も否定できません。
食材を小さく切ったり十分に加熱して柔らかくしたりする工夫により、栄養バランスを保ちながら安全な食生活を継続することが大切です。
万が一仮歯に問題が生じた場合は速やかに歯科医院に連絡してください。
粘着性のある食べ物を避ける
ガムやキャラメル、餅などの粘着性が高い食品は、仮歯の剥離や変形を引き起こす危険性があります。
特にチューイングガムは最も注意すべき食品であり、粘り気の強いお菓子も仮歯に付着して取れなくなったり、引っ張られることで位置がずれたりする原因となります。
このため仮歯を使用している最中は、粘着性のある食べ物をできるだけ避けるようにしましょう。
代替として柔らかいゼリーやプリン、ヨーグルトなどを選択することで、甘味を楽しみながら安全性を確保できます。
食後の口腔ケアも丁寧に行い、仮歯周辺に食べカスが残らないよう注意深く清掃することが大切です。
仮歯や入れ歯に強い力を加えない
仮歯や入れ歯に強い力を加えると、仮歯が破損したりフィクスチャーにストレスを与えたりする恐れがあります。
歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は特に注意が必要です。場合によっては、マウスピースの使用が推奨されることがあります。
ストレスによる日中の食いしばりも同様に問題となることから、意識的にリラックスを心がけることが重要です。
仮歯を指や舌で強く押したり爪楊枝で突いたりする行為も、同様に避けるべき動作に含まれます。
常に清潔に保つ
仮歯や入れ歯周辺の清掃は感染予防と治癒促進のために重要な要素であるため、通常よりも丁寧なケアが求められます。
柔らかい歯ブラシを使用し、仮歯と歯肉の境界部分を優しく清掃して汚れを溜めないようにしましょう。日々の意識により、細菌の蓄積を効果的に防ぐことができます。
また、うがい薬や洗口液を使用すれば、口腔内の細菌を減少させ、炎症のリスクを最小限に抑えられます。
定期的な歯科医院でのクリーニングも欠かせず、プロに口腔内の清掃状態をチェックしてもらうことが大切です。
インプラント治療の大まかな流れ
インプラント治療は複数の段階に分かれており、各工程で異なる期間と処置が必要となります。以下、インプラント治療の大まかな流れを解説します。
▼インプラント治療の流れ
- カウンセリング・検査
- 一次処置:インプラント埋入
- 抜糸・仮歯の調整
- 待機期間
- 二次処置:アバットメント取り付け
- 型取り・完成
- メンテナンス
カウンセリング・検査
初回相談では患者さんの希望や不安を詳しく聞き取り、治療の可能性について説明が行われます。口腔内検査とレントゲン撮影が実施されるのが一般的です。
CT撮影により骨の状態を三次元的に把握し、神経や血管の位置を正確に確認することで、安全な治療計画を立案します。
この段階で治療費用や期間、リスクについても詳細な説明があり十分な検討時間が与えられます。
セカンドオピニオンを求めることも可能で、納得のいく治療選択を行うことが大切です。
一次処置:インプラント埋入
局所麻酔下でインプラント体を顎骨に埋入する手術が行われます。この工程は、通常1時間程度で完了します。
手術当日は安静にし、処方された抗生物質や鎮痛剤を指示通りに服用することが大切です。腫れや軽度の痛みは術後2~3日がピークとなり、その後徐々に改善していきます。
食事は柔らかいものから始め、患部への刺激を避けることが治癒促進に繋がります。
抜糸・仮歯の調整
手術から7~14日後に抜糸が行われ、創部の治癒状況を確認します。同時に仮歯の調整も実施されるのが一般的です。
仮歯の咬合や適合状態をチェックし必要に応じて形態修正が行われます。この時点で日常生活に大きな支障はなくなり、通常通りの生活が送れます。
待機期間
インプラント体と骨の結合を待つ期間で下顎で2~3ヶ月、上顎で3~6ヶ月程度が必要となります。この間は仮歯や入れ歯で過ごすことになります。
定期的な検診により結合状況を確認し、レントゲンでの経過観察が重要です。待機期間中も口腔ケアを怠らず、インプラント周囲の健康を維持することが求められます。
この期間の過ごし方が最終的な治療結果に大きく影響するため、指示事項を守ることが極めて重要となります。
二次処置:アバットメント取り付け
インプラント体と骨の結合が確認されたら、アバットメント(土台)を取り付ける処置が行われます。
歯肉を小さく切開してインプラント体の頭部を露出させ、専用の土台を装着することで、人工歯の基盤が完成します。
処置時間は30分程度と短く、術後の腫れや痛みも一次手術と比較して軽微です。
アバットメント装着後は歯肉の形態が整うまで、数週間の待機期間が設けられることもあります。
型取り・完成
患者さんの口腔内に最適な人工歯を製作するための型取りが行われます。この際、色調や形態の詳細な打ち合わせも実施されます。
インプラントの被せ物はさまざまなタイプから選択可能です。歯科技工士が人工歯を製作し、周囲の天然歯と調和した自然な仕上がりを目指します。
最終装着時には咀嚼テストを行い、機能的な問題がないことを確認します。
メンテナンス
インプラント治療完了後は3~6ヶ月ごとの定期メンテナンスが生涯にわたって必要となります。
インプラント周囲炎の予防が重要な目的で早期発見・早期治療により、長期安定性を確保できます。
家庭での適切なケア方法についても継続的な指導があり、患者さんの技術向上をサポートします。
定期メンテナンスを継続することで、インプラントを20年以上使用し続けることが可能です。
まとめ
この記事では、インプラント治療中の歯がない期間の対処法や注意点、治療の流れについて解説しました。
治療期間中は仮歯や入れ歯を使用することで、審美性と機能性を維持できます。硬い食べ物や粘着性の食品を避ける、清潔に保つなどの注意点を守ることが大切です。
対処法を適切に取り入れることで、社会生活への影響を最小限に抑えながら治療期間を過ごせる可能性があります。
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インプラント治療期間中の不安を解消したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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