リテーナーの種類や目立ちにくい装置を歯科医が解説【後編】
2023.02.28更新
リテーナーの使用におけるトラブル
以前もお伝えしたように、リテーナーは1~3年程度付けて過ごすのが一般的です。しかし長期間装着していると、トラブルが起こる可能性があります。
そのような場合、歯科医院で適切な処置を受けなければなりません。
費用や通院回数が増えてしまうため、できるだけ患者さま自身でトラブルの予防や簡単な対処に努めることが大切です。
なおトラブルには、さまざまな種類のものがあります。起こりやすいものや大きな被害を及ぼすものから、優先して防げるよう努めましょう。
1.装置の破損および紛失
持ち運んだときに多いのが、リテーナーの破損や紛失です。バッグやポケットに入れて移動している際、人や物にぶつかって壊れるというケースは少なくありません。
外部からの強いダメージが加わらないよう、専用のケースに入れて持ち運びましょう。
また紛失の主な原因は「外出先での置き忘れ」です。専用のケースに収納したら、その場でバッグなど所定の場所へしまうことを心がけてください。ルーチン化することによって、置き忘れるリスクを軽減できます。
もし自力で直せないほどの破損が起こった場合、歯科医院での修理が必要です。紛失も含め、何らかのトラブルが生じた際はすぐにかかりつけ医へ相談しましょう。
2.適合しなくなった
破損や紛失と同じくらい多いのが、リテーナーの不適合です。最初はうまく装着できていたものが、途中で合わなくなるというトラブルです。
原因として考えられるのが、装着をさぼったことによる後戻りの進行です。装着を怠った期間が長ければ長いほど、後戻りが進んで歯列に悪影響を及ぼします。
場合によっては、再度歯列矯正を行う必要が生じるでしょう。
「装置が合わないな」「なんとなく違和感があるな」と感じたら、まずは歯に付けられるかどうかをチェックしてください。痛みや違和感があっても、装着できるのであれば後戻りがまだ進んでいない状態だと判断できます。そこからきちんと装着していれば、状況は改善するかもしれません。
装着できない場合は、すぐにかかりつけ医へ相談しましょう。早めの処置を受ければ、二度目の歯列矯正をしなくとも改善できる可能性があります。
歯列矯正が再度必要となれば、これまでの治療に要したコストや期間がムダになってしまいます。
歯科医師の指示通りに装着し、当初の計画通りに理想の歯列を手に入れましょう。
3.滑舌が悪化した
矯正装置やリテーナーによって、滑舌が悪くなることがあります。特に装置を歯の裏に付ける場合、舌の動きが阻害されて発音が困難になるためです。
会話するときの違和感など多少の弊害はあるものの、慣れると問題なく生活できる方が大半です。
「初めは気になったけれど、徐々に慣れて普段通り過ごせるようになった」と答える方は、実際少なくありません。うまく発音できず、時にもどかしさを感じるかもしれませんが、焦らず徐々に慣らしましょう。
ちなみにサ行やタ行、ラ行といった「発音の際、歯の裏に舌が触れる音」は滑舌が悪化しやすい傾向にあります。一つの知識として、ぜひ知っておいてくださいね。
もし日常生活に支障をきたすほどの症状が見られる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。きっと最適なアドバイスや処置を受けられるはずですよ。
まずはかかりつけ医に相談しましょう!
第三者から気付かれにくい装置で後戻りを予防したい方は、まずかかりつけ医に相談しましょう。患者さまの希望や症例に合った装置を提案してくれるはずです。
専門知識が必要なので、自己判断はNGです。きちんと診察と提案を受け、ベストの選択をしてください。
後悔のない治療をするためには、信頼できる歯科医院を見つけることが大切なポイントです。十分なコミュニケーションが取れて、信頼関係が築けそうな歯科医師を探してくださいね。
まとめ
歯列は動かして終わりではなく、整えた状態をキープすることが大切です。すぐにもとの状態へ戻らないよう、歯科医師の指示通りにリテーナーを装着して過ごしましょう。
ただ数年単位での装着が必要なので、時にはイヤになることがあるかもしれません。そのような場合は、ご自身が美しい歯並びを手に入れたときの姿を想像し、モチベーションの維持に努めましょう。
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