「インプラント治療を受けたけど、MRI検査は大丈夫?本当に受けられる?」という不安がある方もいるのではないでしょうか。
結論として、インプラント治療後でもMRI検査は基本的に安全に受けることができます。
現在使用されているチタン製インプラントは非磁性体であり、磁場による影響を受けにくい特性があるためです。
適切な情報提供と事前の相談により、多くの場合で問題なく検査を実施できるため、過度な心配は必要ないといえるでしょう。
しかし、オーバーデンチャーや特殊なインプラントでは注意が必要な場合もあり、稀に金属部分の発熱や画像ノイズといったリスクも存在します。
この記事では、インプラント治療とMRI検査の関係や受けられないケース、検査を断られた場合の対処法について詳しく解説します。
インプラント治療とMRI検査
インプラント治療を受けた方の中には、MRI検査を受ける際に不安を感じる方も少なくありません。
MRI検査は磁石を用いる検査であるため、チタンやセラミックを使用するインプラント治療との関係性はよく問題となる話題です。
実際にインプラントが体内に埋入されている状態でMRI検査を行っても安全なのか、検査結果に影響はないのかといった疑問が多く寄せられています。
この疑問を解消するために、まずはインプラント治療とMRI検査それぞれの理解を深めることが重要です。
インプラント治療とは
失われた歯の機能と見た目を回復するため、顎骨に人工歯根を埋入する歯科治療法がインプラント治療です。
この治療法では、インプラント体(歯根部)、アバットメント(支台部)、人工歯(上部構造)の3つの部品が用いられます。
インプラント体の材質はチタンが一般的です。アバットメントにはチタンやジルコニア、人工歯にはレジンやセラミックなどが主に採用されます。
骨との結合により天然歯と同様の咀嚼力を発揮し、隣接する健康な歯に負担をかけることなく機能回復が可能です。
治療期間は数ヶ月から半年程度要しますが、天然歯に近い見た目や機能が得られる場合があり、適切なケアにより長期間使用されるケースもあります。
現在では世界中で広く普及している信頼性の高い治療法として位置付けられており、生活の質向上に大きく貢献しています。
MRI検査とは
MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査とは、強力な磁場と電波を利用して体内の詳細な画像を撮影する精密検査のことです。放射線被曝がないことが大きな特徴です。
脳や脊髄、関節、内臓器官など軟部組織の観察に優れており、病気の早期発見や治療効果の判定に重要な役割を果たしています。
検査時間は部位により30分から1時間程度で完了します。
金属製品は磁場の影響を受けるため、検査前には取り外しが必要となり、体内金属の有無についても詳細な確認が行われるのが特徴です。
インプラント治療後にMRI検査は受けられる?
結論として、インプラント治療を受けた方でもMRI検査を安全に受けることは十分に可能です。現在使用されているインプラントの大部分は問題ありません。
インプラントの主要材料であるチタンは非磁性体であり、MRIの強力な磁場による影響を受けにくい特性を持っています。
ただし、検査前には必ず医療スタッフにインプラント治療歴を申告することが必要です。
使用されているインプラントの種類や埋入部位によっては、検査方法に調整が必要な場合があるためです。
中にはチタン製のインプラントではないケースもあり、その場合は磁石に反応する可能性があるため、必ず適切な情報共有が必要です。
インプラントとMRI検査の誤解
インプラントがあるとMRI検査を受けられないという誤解が一部で広まっていますが、これは正確ではありません。多くの場合、検査は問題なく実施されています。
この誤解が生まれる背景には、古い情報や不正確な知識が影響しており、医療従事者でも正しい理解を持たない場合があるため注意が必要です。
現代のインプラントシステムはMRI対応が前提として設計されています。ペースメーカーや人工関節など、他の医療器具との混同も誤解を生む原因の1つとなっているのです。
正確な情報に基づいた判断により、適切な医療を受けることが大切です。
治療後にMRI検査を受けられる理由
インプラントに使用されるチタンが非磁性材料であることが、MRI検査実施の根拠となっています。
チタンの生体親和性の高さは医療分野で長年実証されており、MRI環境下でも安全性が確保されていることが多くの研究で明らかになっています。
一方で、鉄やコバルト、ニッケルなどの強磁性金属は磁石に強く反応するため、MRI検査で身につけることができません。
また、チタン製のインプラントであっても画像への影響については完全に排除できない場合もあり、撮影条件の調整が必要となることもあります。
インプラント治療後にMRI検査を受けられないケース
基本的には安全に検査を受けられるインプラント治療後のMRI検査ですが、一部例外的なケースも存在します。
古いタイプのインプラントや特殊な構造を持つシステムでは、一部制限が生じる場合があるのです。また、インプラント以外の口腔内装置との組み合わせも影響要因となります。
ここでは、インプラント治療後にMRI検査を受けられない具体的なケースを2つ紹介します。
オーバーデンチャーを利用している
インプラントを支台とするオーバーデンチャーを使用している場合、MRI検査には特別な注意が必要となります。着脱式の入れ歯部分に磁性体が含まれていることがあるためです。
オーバーデンチャーのアタッチメント部分に磁石が使用されている場合、MRIの強力な磁場により予期しない動きや発熱が生じる危険性があります。
思わぬトラブルを避けるため、検査前には必ずオーバーデンチャーを取り外すことが必要です。
また、磁性アタッチメント以外にも金属製のクリップやバーが使用されている場合は、画像への影響も考慮する必要があります。
歯科以外のインプラント治療を受けた
整形外科領域で使用される人工関節や骨接合用プレートなど、歯科以外のインプラント治療を受けている場合は慎重な対応が求められます。
使用材料や構造が大きく異なるため、MRI検査で反応してしまうケースがあるのです。
人工股関節や膝関節に使用される金属材料の中には、MRI検査に影響を与える可能性のあるものも存在するため、安全性の確認が不可欠です。
脊椎固定術で使用されるスクリューやロッドも同様の注意が必要です。
これらの医療器具については、製造メーカーが発行するMRI適合性証明書の確認が重要となります。
インプラントがMRI検査に及ぼすリスク
チタン製インプラントは基本的に安全とされていますが、完全にリスクがないわけではありません。ここでは、インプラントがMRI検査に及ぼすリスクを2つ紹介します。
金属部分の発熱
MRI検査中にインプラントの金属部分で電流が誘導され、局所的な発熱が生じる可能性があります。特に大きなインプラントで起こりやすい現象です。
発熱の程度は通常軽微で患者さんが不快感を感じることは稀ですが、熱感を自覚する場合があります。
検査中に異常な熱さや痛みを感じた場合は、すぐに検査を中止するよう伝えてください。
インプラントの形状や配置によって発熱リスクは変動し、複数のインプラントが近接している場合は注意が必要となります。
MRI画像のノイズ
インプラント周辺では磁場の乱れにより、アーチファクト(画像の乱れ)と呼ばれるノイズが生じることがあります。
特にインプラント近辺の組織や臓器を詳細に観察したい場合、画像品質の低下が問題となることもあるでしょう。
検査部位とインプラントの位置関係によって影響の程度は大きく変わり、離れた部位では問題になりにくい傾向があります。
必要に応じて造影剤の使用や撮影角度の変更など、さまざまな工夫により診断精度の向上が図られます。
インプラントが原因でMRI検査を断られた場合の対処法
医療機関によっては、インプラントを理由にMRI検査を断られる場合があります。そんな場合の対処法として、以下3つの方法を紹介します。
上部構造だけを外す
取り外し可能な上部構造(人工歯)がある場合、検査前に一時的に外すことで安全性を高められます。
アバットメントも取り外せるタイプであれば、さらにリスクを軽減できるでしょう。歯科医師と連携して事前に取り外しを行い、検査終了後に再装着するという方法が安全です。
この対応により、医療スタッフの不安も軽減され、スムーズな検査の実施が期待できます。
ただし、取り外しに伴う費用や時間的な負担への考慮が必要です。歯科医師との事前相談により、最適なタイミングでの取り外し・再装着スケジュールを調整することが大切です。
チタン製のインプラントであることを伝える
インプラントの材質がチタンであることを明確に伝えることで、検査実施への道筋が開ける場合があります。製品の安全性データを提示することも有効です。
歯科医師からインプラントの情報を記載した診断書を取得し、MRI検査を行う医療機関に提出することで理解が得られるでしょう。
また、複数の医療機関で相談することにより、インプラント治療に理解のある施設を見つけることも期待できます。
安全な検査実施に繋げることを目標に、医療機関にインプラントの詳細情報を正しく伝えましょう。
担当医に相談する
インプラントの材質に不安を感じているなら、一度担当医に相談してみるのもよいでしょう。
治療を行った歯科医師に相談することで、具体的な解決策を見つけられる場合があります。
MRI検査に対応した医療機関の紹介や必要な書類の作成など、効果的なサポートを受けられるでしょう。
インプラントメーカーへ問い合わせることで、さらに詳細な情報を得ることも有効です。
また、セカンドオピニオンとして他の歯科医師に相談すれば、新たな視点での解決策が見つかる可能性があります。
医科と歯科の連携により、患者さんにとって最適な検査方法を模索することが重要です。
専門医のネットワークを活用することで、インプラント治療とMRI検査の両立を実現する道筋を見つけることができるでしょう。
インプラント治療はCT検査に影響ある?
CT検査においても、インプラントによる画像への影響は発生しますが、MRI検査ほど深刻な問題となることは稀です。
CT検査は放射線を使用した検査法であり、磁場は使用されていません。
そのため、歯科領域のインプラントだけでなく、心臓のペースメーカーや人工内耳など、磁力に反応する場合であってもCT検査は問題なく受けられます。
特に歯科用CTでは、インプラント治療後の検査が日常的に行われており、適切な撮影技術が確立されています。
造影剤を使用したCT検査でも、インプラントが直接的な制限要因となることはほとんどありません。
画像処理技術の進歩により、金属アーチファクトを低減する機能を備えたCT装置も普及しており、より高品質な画像が得られるようになっています。
ただし、必ずCT検査を受けられるというわけではなく、インプラントの種類によっては受けられない可能性があります。
特に歯科領域以外でのインプラント治療を受けた場合、CT検査に反応する可能性があるため、事前に医師に相談することが大切です。
まとめ
この記事では、インプラント治療とMRI検査の関係や受けられないケース、検査を断られた場合の対処法について解説しました。
インプラント治療後でも、MRI検査は基本的に安全に受けることができます。これは、非磁性体のチタンが影響しています。
事前に医療スタッフへの正確な情報提供や担当歯科医師との相談により、安全に検査を受けることが大切です。
岐阜駅前歯科クリニック・矯正歯科では、年間約500本という豊富な実績と最新設備により、患者さんに安心していただけるインプラント治療を提供しております。
インプラント治療後の検査に関するご不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。