オールオンフォーは、少ない本数のインプラントで全ての人工歯を支える高度な治療法です。
短期間で噛めるようになり、見た目も自然に回復できるため、多くの方が選択肢として検討しています。
しかし一方で、十分な知識をもたないまま治療を進めると「思っていた結果と違った」「もっと確認しておけばよかった」と後悔につながるケースもあります。
本記事では、オールオンフォー治療に潜むリスクと、後悔を防ぐために必ず押さえるべき確認ポイントを解説します。
オールオンフォーの主なリスク

オールオンフォーの主なリスクは次のとおりです。
- ・インプラントが結合しない
- ・即日荷重の噛み合わせトラブル
- ・骨量不足・骨質不良による失敗
- ・清掃不良によるインプラント周囲炎
それぞれ解説します。
インプラントが結合しない
インプラントが骨と結合しない原因には、骨質の問題だけでなく、全身疾患、生活習慣、感染などさまざまな要素が影響します。
特に糖尿病や喫煙は血流を悪化させ、治癒が遅れやすくなります。
また、治療後に過度の力が加わると結合が阻害されることがあり、慎重な経過観察が欠かせません。
結合不全が起こった場合、再治療が必要になることもあるため、成功率の高い歯科医院を選ぶことが重要です。
即日荷重の噛み合わせトラブル
「手術当日に仮歯が入って噛める」のはオールオンフォーの大きな魅力ですが、噛み合わせ調整が難しい治療でもあります。
初期の噛み合わせがわずかにズレるだけでインプラントに特定方向の負担が集中し、破折や緩みの原因となります。
噛み合わせは手術後も変化するため、複数回の微調整を前提にしたフォロー体制のある歯科医院が望ましいです。
骨量不足・骨質不良による失敗
骨量が不足している場合、インプラントを安定して支えられず、揺れや脱落のリスクが高まります。
また、長い間歯を失った状態が続くと骨が吸収され、骨密度も低下します。
経験豊富な歯科医院であれば、骨造成や再生療法を併用することで治療可能なケースもありますが、治療計画の立て方次第で結果が大きく変わります。
清掃不良によるインプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、天然歯でいう歯周病のような状態で、進行するとインプラントが脱落する可能性があります。
特にオールオンフォーは人工歯の面積が広いため、清掃が行き届かないと細菌が繁殖しやすくなります。
専用ブラシの使い方指導や定期的なケアが重要です。
オールオンフォーの事前確認ポイント

オールオンフォーの事前確認ポイントは次のとおりです。
- ・オールオンフォーを理解する
- ・4本のインプラントで固定すれば良いわけではない
それぞれ解説します。
オールオンフォーを理解する
「All-on-4(オールオンフォー)とは、基本的にノーベルバイオケア社のインプラントデザインとその性質によって確立されています。
ノーベルバイオケア社のインプラントを使わずして、その処置をAll-on-4(オールオンフォー)と呼ぶことはできません。
4本のインプラントで固定すれば良いわけではない
オールオンフォーは4本のインプラントで固定すれば良いというわけではなく、確かな技術+ノーベルバイオケア社のインプラントを使用した手術を指します。
そのため格安のオールオンフォー治療などは、信頼性がなくリスクが潜んでいる可能性もあるため、十分な注意をしてください。
オールオンフォーが向かないケース

オールオンフォーが向かないケースは次のとおりです。
- ・全身疾患・喫煙などがある
- ・骨質が弱いケース
- ・噛む力が極端に強い人
詳しく解説します。
全身疾患・喫煙などがある
糖尿病、心疾患、自己免疫疾患などがある場合、感染や治癒不全のリスクが高まります。
また喫煙は、インプラント失敗リスクを大幅に上げる要因で、結合不全の発生率も高いとされています。
骨質が弱いケース
骨質が非常に弱い場合、4本で全体を支える構造が安定しない可能性があります。
CT診断で骨の状態を詳細に分析し、必要に応じて骨造成や他の治療法(オールオン6など)を検討する必要があります。
骨の状態によっては、治療自体を延期して準備期間を設けるケースもあります。
噛む力が極端に強い人
強い噛み締め癖や歯ぎしりがある方は、通常の人よりもインプラントへの負荷が大きくなります。
そのまま治療を進めると破折やネジの緩みの可能性が高まるため、ナイトガードの使用や、噛み合わせ調整を継続的に行う必要があります。
場合によっては他治療の方が適しているケースもあります。
オールオンフォーの失敗を防ぐポイント

オールオンフォーの失敗を防ぐポイントは次のとおりです。
- ・CT・3D診断とシミュレーションの徹底
- ・難症例に対応できる歯科医院選び
- ・治療後のメンテナンス体制の確認
CT・3D診断とシミュレーションの徹底
精密な治療には、立体的な骨の情報を把握するCT診断が不可欠です。
インプラントをどの角度・深さ・位置に埋め込むのか、AIやガイドシステムを使ったシミュレーションで計画を立てることで、神経損傷や誤埋入のリスクを最小限に抑えることができます。
診断の質は歯科医院によって大きく異なるため、設備環境も確認しましょう。
難症例に対応できる歯科医院選び
難症例に対応できる歯科医院は、症例数が多いだけでなく、骨造成や再生療法など幅広い選択肢を持っています。
治療計画の説明が丁寧で、複数の治療案を提示できる歯科医院は信頼性が高いと言えます。
カウンセリング時には、成功例だけでなく失敗例への対応方法も質問すると歯科医院の実力が見えます。
治療後のメンテナンス体制の確認
オールオンフォーは「治療したら終わり」ではなく、治療後のケアこそが長持ちの鍵です。
定期検診の頻度、クリーニングの質、トラブル時の迅速な対応など、アフターケア体制が整っている歯科医院を選びましょう。
特に初期の数カ月は変化が大きいため、複数回のチェックが必要となります。
まとめ:オールオンフォー治療のリスクを避けるなら

オールオンフォーは、噛む機能や見た目を大きく改善できる優れた治療ですが、高度な知識・技術・設備が必要です。
リスクを理解した上で治療に臨むことで、長期的に安定した結果を得られます。















