「口ゴボをマウスピース矯正で治すことはできる?効果や費用を知りたい」という疑問がある方も多いのではないでしょうか。
口ゴボ(上下顎前突)は軽度から中等度の歯性の問題であれば、マウスピース矯正による改善が期待できます。
透明で目立ちにくく、取り外しも可能なため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
ただし、重度の骨格性の問題や複雑な歯の移動が必要な場合は適応に限界があり、ワイヤー矯正や外科的治療が必要になることもあるでしょう。
この記事では、口ゴボの原因や改善方法、マウスピース矯正の適応ケースや費用・期間、治療前の注意点について解説します。
口ゴボとは
口ゴボとは、上下の唇が前方に突出して見える状態のことを指します。正式には「上下顎前突」と呼ばれています。
横顔で鼻先と顎先を結んだEラインよりも唇が前に出ている状態が、典型的な特徴です。
日本人の場合はEラインよりも少し内側に唇があることが理想とされており、唇がEラインよりも大きく前に出ている場合に口ゴボと判断されることが多くあります。
見た目のコンプレックスになりやすく、口が閉じにくい、発音しにくいといった機能的な問題を伴うこともあります。
口ゴボの主な原因
口ゴボの原因は大きく分けて、「歯性」と「骨格性」の2つに分類されます。
歯性の場合は前歯が前方に傾斜していることが主な要因で、このケースは「歯槽性上顎前突」と呼ばれます。
指しゃぶりや舌癖、口呼吸などの習慣が影響することもあり、これらの癖により歯が前方に押し出される結果として口ゴボが生じるのです。
一方、骨格性の場合は上顎骨や下顎骨の位置や大きさに問題があり、遺伝的な要素が大きく関わっています。
混合性のケースでは歯と骨格の両方に問題があるとされ、歯並びの悪さや咬み合わせの問題が口ゴボを悪化させる要因となることもあります。
口ゴボを改善する方法
口ゴボの改善には複数のアプローチがあり、原因や程度によって適切な治療法が選択されます。患者さんの年齢や希望、予算などを考慮することが大切です。
マウスピース矯正
透明なマウスピースを段階的に交換することで、歯を少しずつ移動させる治療法です。この方法は、「インビザライン矯正」とも呼ばれます。
マウスピースは目立ちにくく取り外しが可能なため、日常生活への影響を最小限に抑えられる点が特徴です。
軽度から中等度の歯性の口ゴボに対して効果的で、治療期間は1年〜3年程度が一般的であり、定期的な通院により治療の進行状況をチェックしながら進めていきます。
抜歯を伴う場合でもマウスピース矯正での対応が期待できます。
近年は技術向上により適応範囲が拡大しており、従来では困難とされていた症例にも対応できるようになりました。
ただし、重度の骨格性の問題や複雑な歯の移動が必要な場合は適応が困難になることもあります。
ワイヤー矯正
歯にブラケットと呼ばれる矯正器具を装着し、ワイヤーの力で歯を移動させる従来の矯正治療法です。
幅広い症例に対応でき、重度の口ゴボでも効果的に治療を進めることができます。
マウスピース矯正では対応困難な複雑な歯の移動や回転にも有効で治療精度が高く、予測可能な結果を得やすいという特徴があります。
治療期間はマウスピース矯正よりも長く、2年〜4年程度が一般的です。定期的なワイヤーの調整により、理想的な歯並びへと導いていきます。
見た目が気になる場合は、歯の色に近いセラミックブラケットや裏側矯正を選択することも可能です。
ライフスタイルに合わせて治療を進められるため、社会人の方でも安心して治療を受けられます。
セットバック術
セットバック術は、上下の顎骨を一部切断して後方に移動させる外科的な治療法です。重度の骨格性口ゴボに対して根本的な改善効果が期待できます。
全身麻酔下で行われる手術のため入院が必要で、術後の腫れや痛みなどのダウンタイムも考慮する必要があります。
回復までに数週間から数ヶ月を要することが一般的です。
矯正治療と併用することでより理想的な結果を得ることが期待でき、機能面と審美面の両方を改善できます。短期間で改善が見込める点もメリットの1つです。
セットバック術の費用は保険適用の場合で30万円〜50万円程度、自費診療では100万円〜250万円程度が目安となります。
マウスピース矯正で改善できる口ゴボのケース
マウスピース矯正の適応範囲は技術の進歩により年々拡大していますが、全ての口ゴボに対応できるわけではありません。以下、マウスピース矯正で改善できる3つのケースを紹介します。
歯の生え方に問題がある場合
前歯が前方に傾斜していることが主な原因の歯性口ゴボでは、マウスピース矯正による改善効果が期待できます。
上下の前歯を後方に移動させることで、自然な口元のラインに整えることが可能です。
軽度から中等度の症例であれば抜歯をせずに改善できる場合も多く、患者さんの負担を軽減できるメリットがあり、歯を削る必要もないため歯質を保護しながら治療を進められます。
治療中の痛みも従来の矯正法と比較して少なく、快適に治療を継続できる点は大きな利点といえるでしょう。
ただし、重度の前突や複雑な歯の重なりがある場合は、事前に抜歯が必要になることもあります。
また、歯列全体に大きな歪みがあるケースでは、マウスピース矯正ではなく、ワイヤー矯正など別の方法の検討が必要です。
唇や軟組織に問題がある場合
歯並びは正常でも唇の厚みや筋肉の緊張により口ゴボに見える場合があります。
このようなケースでは、矯正治療と併せてボトックス注射やヒアルロン酸注入などの美容医療を組み合わせることが効果的です。
マウスピース矯正により歯の位置を微調整することで唇の形や位置を改善し、より自然で美しい口元を実現することが期待できます。
特に上唇が厚い方や口周りの筋肉が発達している方では、歯の後方移動により唇の緊張が緩和され、自然な口元の形状を目指すことが可能です。
軟組織の問題による口ゴボは見落とされがちですが、適切な診断により原因を特定し、総合的なアプローチで改善を図ることが重要です。
治療には歯科医師と美容外科医の連携が必要になることもあり、包括的な治療計画の立案が求められます。
顎や骨格の大きさに問題がある場合
顎骨の前後的な位置関係や大きさに起因する骨格性の口ゴボは、軽度であればマウスピース矯正でもある程度の改善が見込めます。
しかし、上顎前突や下顎後退など、顎骨自体の位置に問題がある場合は根本的な解決が困難とされています。
このような症例では、外科矯正やセットバック術との組み合わせが検討されることが多く、矯正専門医との詳細な相談が不可欠です。
CT撮影による骨格の分析を行い、歯の移動だけで改善可能な範囲を正確に把握することが治療成功の鍵となります。
マウスピース矯正で口ゴボを改善する費用・期間
口ゴボの改善にかかる費用や治療期間は、症例の複雑さや選択する治療法によって大きく異なります。事前に詳細な見積もりを取得し、治療計画について十分に理解しておくことが重要です。
マウスピース矯正の費用
マウスピース矯正による口ゴボ改善の費用は、一般的に30万円〜100万円程度の範囲で設定されています。
軽度の症例では、30万円〜70万円程度で治療できることが多い傾向にあります。
抜歯を伴わない場合は比較的低価格での治療が期待でき、中等度から重度の症例では70万円〜120万円程度となることが一般的です。
抜歯や追加の処置が必要になる場合はさらに費用が上乗せされます。
治療費には診断料、装置代、調整料、保定装置代などが一般的に含まれますが、医院によって料金体系が異なるため事前の確認が必要です。
分割払いやデンタルローンを利用すれば、月々の負担を軽減できます。多くの医院で支払い方法の相談に応じてくれるでしょう。
マウスピース矯正の期間
口ゴボの改善にかかる治療期間は、症例の程度により3ヶ月〜3年程度と幅があります。
| 症例の程度 | 期間の目安 |
|---|---|
| 軽度 | 3ヶ月〜1年程度 |
| 中等度 | 1年〜2年程度 |
| 重度・抜歯を伴う場合 | 2年〜3年程度 |
患者さんの協力度も治療期間に大きく影響し、マウスピースの装着時間を守ることで予定通りの期間での治療完了が期待できます。
また、年齢による歯の移動速度の違いも考慮する必要があります。
治療完了後は保定期間として1年〜3年程度、保定装置の使用が必要になることも治療計画に含めて考える必要があるでしょう。
マウスピース矯正で口ゴボを治療する前に知っておくべきこと
マウスピース矯正を選択する前に、治療の限界や注意点について十分に理解しておくことが重要です。以下、口ゴボを治療する前に知っておくべきことを3つ紹介します。
ワイヤー矯正のほうが改善に向いていることがある
重度の口ゴボや複雑な歯の移動が必要な症例では、ワイヤー矯正のほうが効果的な場合があります。
特に大きな抜歯スペースの閉鎖や歯根の平行移動が必要な場合、ワイヤー矯正の精密な力のコントロールが有利です。
マウスピース矯正では困難な歯の回転や傾斜の修正も、ワイヤー矯正なら確実に行うことができるため、治療結果の予測性が高まります。
また、治療期間についてもワイヤー矯正のほうが短期間で済む場合があります。
ただし、費用面ではマウスピース矯正のほうが有利に働くケースが多いため、経済的な負担を軽減したい患者さんにとって、ワイヤー矯正はあまり向いていません。
マウスピース矯正で口ゴボが悪化する可能性がある
不適切な治療計画や診断により、マウスピース矯正が口ゴボを悪化させる可能性があります。
特に前歯の過度な前方移動や不適切な抜歯スペースの処理が問題となりやすく、口元の突出感が増強される場合があるのです。
患者さんの装着時間不足や指示に従わない使用方法も、予期しない歯の移動を引き起こし、結果として口ゴボが悪化することがあります。
治療中の定期的なチェックを怠ると、問題が発覚した時には修正が困難な状況になっていることも珍しくありません。
このようなトラブルを避けるためには、矯正専門医による正確な診断と治療計画の立案が不可欠です。
また、マウスピース矯正治療を途中でやめてしまった場合、歯並びが悪くなったり、治療再開まで時間がかかったり、治療費が無駄になったりなどのリスクが生じます。
「治療期間が長くて不快」「治療費の負担が思ったよりも大きい」という悩みを抱える方もいますが、可能であれば一度始めた治療は最後まで続けることをおすすめします。
矯正治療を途中で辞めるリスクや、最後まで続ける方法については以下の記事をご確認ください。
失敗しないために実績のある歯科医院を選ぶ
マウスピース矯正による口ゴボ治療の成功は、担当医の技術力と経験に大きく左右されます。
年間症例数や口ゴボ治療の実績について詳しく確認し、豊富な経験を持つ医師を選択することが重要です。
矯正歯科専門医の資格や学会認定医の資格を持つ医師なら、より安心して治療を任せることができるでしょう。
歯科医院の技術レベルを判断したい場合は、過去の症例写真や治療結果を見せてもらうのが有効です。
また、複数の医院でセカンドオピニオンを受けることで、最適な治療法と信頼できる医師を見つけることができ、マウスピース矯正の治療効果を高めることができるでしょう。
まとめ
この記事では、口ゴボの原因や改善方法、マウスピース矯正の適応ケースや費用・期間、治療前の注意点について解説しました。
マウスピース矯正は軽度から中等度の歯性口ゴボに効果的で、目立ちにくく日常生活への影響も少ない治療法として多くの患者さんに選ばれています。
治療費は一般的に30万円〜100万円程度、期間は3ヶ月〜3年程度かかります。実績豊富で信頼できる医院を選ぶことが成功の鍵となるでしょう。
岐阜駅前歯科クリニック・矯正歯科では、CT撮影による三次元的な診断と緻密なシミュレーションにより、患者さんの負担を軽減しながら健康な歯を守る矯正治療を提供しております。
口ゴボや矯正治療をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。















